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2011.04.25 Monday 00:00 カテゴリ:プチ鹿島のプチコラム by プチ鹿島

ブス会*第2回公演『淑女』。 「強者」と「弱者」のおばちゃん。

ブス会*第2回公演『淑女』を観た。

あいかわらず細かくてイヤな話だった。「イヤ」は「リアル」と置き換えてもよい。リアルすぎると見事なイヤができる。

観客は、清掃会社の事務所での日常を覗き見させられる。そこにいるのは4人の女。「前田」「鈴木」「小島」「吉岡」。

「前田」はパートのリーダー格。夫と子どもがいる。
「鈴木」は前田と同世代。子どもはいない。容姿にも恵まれていない。
「小島」は新人。27歳。ここでは若い。
「吉岡」は30歳ぐらいで、モデルもしている(自称)。子ども有り。遅刻や欠勤は平気。この仕事はどうでもいい。

この時点ですでに胸にザワッとくるのが「鈴木」だ。

「鈴木」にとって新入りの若さは脅威だろう。その予想はたやすい。自分が取り残される心配をいかにもしてそうな女なのだ。
「鈴木」からすれば「前田」も同世代だが、彼女はリーダーだから取り残されないし、万一浮いたとしてもそんなことは気にしない感じだ。世間では、そのような人を“おばちゃん”と呼ぶ。

「前田」はおばちゃんでも「強者」のおばちゃんだ。家庭に恵まれているという自負がある。恥などないという自信がある。カラオケだって最近の曲を臆せずに歌う。それがまたある種の社交性につながる。

その点「鈴木」は若さも、容姿も、そして子どもも、何も持っていない。「弱者」のおばちゃんである。だから哀しいほど周囲の反応を気にし、自分が誰に対しても不利にならないよう、スキがあれば「陣地取り」をする。陣地と言っても空気を工作しようとする、ささやかな立ち回り。

「鈴木」のささやかな、いや、みみっちい全方位外交は墓穴を掘る。年齢と容姿で女性のパワーバランスは簡単に変わってしまうという、恐ろしくて誰も言わないことが目の前で淡々とすすんでゆく。上手いと思うのはそれを決定的な「セリフ」ではなく、あくまで「鈴木」がつかみ損ねた「空気」の逆転で描かれてゆくのだ。

「鈴木」が守ろうとする世界は小さい。男のように、その場を守ることで何がしかの既得権益があるわけではない。それは、掃除の派遣先で、「コップの置き方が違う」と受けるクレームにも負けないほど細かく小さな世界。しかし「鈴木」は低いレベルでの安定に懸命なのだ。

「鈴木」の姑息さを見ていて、恥ずかしく、切なく感じるのは、たいていの観客は自分を強者とは思っていないからではないか。もっと言えば「鈴木的なもの」に思い当たるフシがあるのだ。

そんな観客からすると、「強者」のおばちゃん(前田)はいつも「正しすぎる」。正しすぎて息が詰まる。このブレなさが「おばちゃん」なんだろうけども、幸せなんだろうけども、自分とは遠い人だと思ってしまう。

作者はこの「正しすぎる」人間を登場させるのは得意なようだ。第一回のブス会でも、常に正しいことを言うヤンママを描いていた。男に対しても生き方に対しても。それは必ずしも人間関係に好転をもたらすわけでないという皮肉になっていた。

「弱者ゆえのセコい政治」を皆多かれ少なかれしているから、「鈴木」を見ていると痛い、可笑しい。

公演名の「淑女」の意味。「強者」でも「弱者」でも、結局はおばちゃんを好意的に見守っているような。で、おばちゃん同士も「しゅくしゅく」と生きている。そんな感じがした。

あと、笑い的には「吉岡」のちゃらい感じの「入、出」のタイミングがいちいち良かった。

最後にひとつ。私はライターと作家と編集者と観たのだが、「小島」については3人とも「あるある」と言っていた。観ればわかる。


5月3日まで。
http://busukai.com/



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